バブル・リレー―21世紀型世界恐慌をもたらしたもの

■バブル・リレー―21世紀型世界恐慌をもたらしたもの








世相ホットライン ハイ!竹村健一です 09/0628




ゲスト:立教大学経済学部教授山口義行






山口 アメリカという国は面白いんですけど、たとえば3000万円の住宅ローンを組んで5000万円ぐらいに値上がりすると、アメリカの銀行からダイレクトメールがきたりするんですよ、あなた3000万円の借金して借りましたよね、今これ5000万ですよ、2000万の純資産ができましたひとつこの資産を担保にしてお金借りたらどうですか、これホームエクイティローンっていうんですけどね、これでまたアメリカ人どんどんお金借りて使うんですね、これで消費が盛り上がっているということがありまして、どれぐらい使ってたかというと、2004年の末の数字で中央銀行が調べたら、金額にして66兆円ぐらい、借りまくってて日々使ってる可処分所得というんですが使ってるおかねの1割弱が、実はその借金を使ってたんです、これ全部住宅価格が上がることが前提ですから下がっちゃたら消費が急に冷え込みますね、だからこれはいくら自動車売れててもいずれ急ブレーキがかかるから気をつけたほうがいいと僕なんかは言ってたわけですが、トヨタは強気強気で実は2008年の5月まで増産増産をやるんですね。その中で下請け企業中小企業に設備投資をしなさいと、そうじゃないとわれわれについてこれないでしょというわけ、そこで下請け中小企業は行けというんで、私の知り合いでも10人から20人ぐらいの小規模な企業が10億近いお金を借りて設備投資をしたんですが、半年もしないうちに売上が5割減今7割減という状態でとっても借金返せないこういうような状態ですから一気に冷え込んだ、やっぱりいわれるようにバブルの最中ってのはなかなか冷静な声が届かない人間の弱さみたいなのがありますからね、これが繰り返してる日本人の場合80年代後半にバブル崩壊体験してますから多少はブレーキがかかったかと思うんですけど、やっぱりそうはいかなかったってことですね、



竹村 制度の違いで案外一般の人は知らないんだけど、たとえば家を担保に金借りて家の値段が上がるともっと借りられますよいうて借りる、ところがそれが家の値段が下がったときにアメリカのルールでは家の値段が1万ドルが2万ドルになったから最初借りてたんが1万ドルその上にもう1万ドル借りるそれで値段が1万ドルに下がった時に日本人やったらね、家を差し出してもまだ1万ドル残るでしょ、それの分はアメリカでは払わんでええんやノンリコースローンと言ってね、そういう日本やったらもうその家が半分の値打ちになったら全部お金かええない場合はどっかから金借りてでも返す。アメリカだけですかねこのノンリコースローンというのは


山口 やはりアメリカにかなり特徴的だと思いますね、そのシステムが世界に広がってるかどうかは確認してないですけど、逆にいうとアメリカの場合はなんとしても家を守って日本で言うとちょっと怪しいところでお金を借りてきてでも家を守ろうとかそういうことよりも、下がってきたらリターンザキーといいましてね、銀行にキーをもっていってもういいですって言っちゃうわけですよね、



竹村 そうすると銀行の負担になる


山口 そうすると銀行が担保にとった家をいっぱい抱え込みますよね、これを処分するわけですよね、これを処分するのに半年ぐらいかかるといわれているんですが、その圧力で住宅価格がドロドロドロドロ盛っていくということでいまだにそういう状態が続いてるということなんですね。




山口 これ私の知り合いの銀行のマーケット部長に聞きまして2007年の8月サブプライムが起きた時どうしましたって言ったら、すぐ部下にこれ全部売っちゃえと言ったとしかし実際売れたのが1週間というのは1週間続くと買い手がいないんですねもうみんなわかっちゃうから誰も買わない、ということは今も世界中の金融機関が抱えてるということですね、だから繰り返し繰り返し金融危機みたいなことが起きている、でそこで今回今年の1〜3月になったらシティバンクだゴールドマンだみんな急に黒字になっちゃったじゃないですか、だからどういうことだろうと調べてみたら金融機関が持っている資産をレベルの123と三つに分けましたね、で1っていうのが国債とか上場株式とか誰が見てもいくらかわかるもの、2というのはわからないんだけれど類推して、3は決めようがないんでおたく勝手に決めていいですよっていうのが3なんですね、レベルの3がたくさんあったら会計いい加減になっちゃいますから通常の会計ルールでは3は極力減らして全てレベルの2にしなさい、そこでMBSと呼ばれる証券商品も厳しめに値段がついてました、したがって100億だった奴が60億、そうすると40億の損失というのが出てきましたよね、ところが今回議会がルール変えちゃいましてレベル2のものをレベル3に下げて良いっていう風にしたんですね、ということは言い換えると自分でもう値段決められますから60億といってたやつを80億にしようかって自分で決めますからそれだけで20億円の利益が出る、こうして全体をいわば持ち上げてしまってますので政府公認粉飾決算みたいなもので、なんでそういうことするかというと、政府はですねあんまり銀行が赤字だと公的資金投入しなければいけないですね、で公的資金あんまりないんですよ、そこで議会を説得して予算を通してって言うとまたすったもんだが起きるとこれは嫌だなということになりまして、だからなるべく黒字になるようにしましょうと、そうすると銀行が自前で増資ができるじゃないかと自分で資本を集めてこれますから公的資金注入しなくていい、銀行も喜びますよね、これみんないいじゃんということで突然1、3月からみんな黒字銀行になっちゃった、これも奇妙な話でこれにつられて株なんかも上がってるしドルも今少し上がってきてると



竹村 ということは基礎があやしい、株がだいぶ戻ってきてるのも


山口 ちょっとまだ危ないなと思いますよ、もう一つはね、武村さんこれすごいんですけどねたとえば金融機関が100億円の社債を発行して投資家に買ってもらったとその金融機関の経営状況が悪いと100億円の社債はたとえばマーケットでは80億円にしかなりませんよと当然なりますよね、それをどういう風に理解するかというと100億円の借金が80億円に減ったんだという風に理解してこの金融機関20億円利益が出たという計算をするんですよ、つまり金融機関の経営が悪くなればなるほど負債評価益という利益が出てくるんですね、実はシティバンク



竹村 そのお金をねなんかディーラーにあるいは社員にボーナスで払ってんじゃないの



山口 あれはまさに公的資金をばらまいてるんですよ、でアメリカというのはどうかしちゃったんじゃないかと思いますね、たとえばシティバンクは19億ドルぐらいの黒字を出してるんですけど、さっきの資産評価の仕組みを変えたのと債務評価益だけでだけでずいぶん黒字をつくっちゃった、でこういう状況があるから周りから見たらこれで金融危機終わって銀行も大丈夫だとおもって安心感できて株が上がって、そしてなんとなくアメリカも底打ちだねみたいな雰囲気なんです



竹村 それはアメリカの話はわかったけど、ヨーロッパの連中はアメリカ型なんですか日本型なんですか




山口 ヨーロッパのほうはもともと会計が分かりにくいところがあるんですけど、アメリカほど極端にみんなして雰囲気つくっちゃおうという感じではないんですね、というのはアメリカっていうのはたとえば税務長官ポールソンという人がいますけどあの人はもともとゴールドマンサックスの会長ですよね、そういう金融業界とほとんど同一化しちゃってるんですね、だからやろうと思えばいくらでもやれるところがありまして、市場が政府をチェックするという関係になってない




竹村 こんなインチキなことをしてるとわれわれの眼から見たら、ことはオバマ大統領は解ってるんですかそれともあれも金融は専門家ではないだろうからわからないままで言ってるのかね



山口 いやオバマさんとしては今更公的資金注入したいんで予算をつけてくれっていう風にいかないんでこれはやらざるを得ないと言うことで皆で雰囲気作りをやってるところですよね。今アメリカが底打ちって言われてるんですがこれは実は偽りの夜明けじゃないかって、その背後にそういうことがある。たとえばGMも破産処理やりましたけど、ああいうこともうまく処理言ったという点で株式市場は評価するんですけど、一方でおそらくこれで大量の失業者が出ることになる、そうすると実体経済は代替失業率10パーセントいくと思うんですが10人に1人失業してる状態ですからそうとう厳しいですよね、そのへんをちゃんと見てみるとまだまだアメリカは厳しい、それから日本は不良債権処理に大分手間取ってこれこそ失われた10年なんですが、この不良債権処理というのがほとんど進んでないんですね、アメリカで全然、まだ何にも進んでない状態の中でお金だけはとりあえずばら撒いてるという状態ですからこれまだまだこれからずいぶん時間もかかるし手間もかかるんで



竹村 じゃあ日本の財務の担当の大蔵大臣ももうそろそろ底打ちしたと、生産現場ではそんな感じはあるんか知らんけど金融的にはまだ不安がある









山口 えーとねたとえばアメリカは底打ち感は徐々に出てくるんだろうけどただしなかなか上がらない、まだこれからやんなきゃいけないこといっぱいある、日本の場合それがどういう風に影響してくるかというとたとえば新聞は大手自動車トヨタとかホンダとか増産と書くんですけどね実はどういうことかというと、売上は3割減に下がっていたところが生産は5割減にしてた在庫を減らすために、でこれを3割に戻すということですから元に戻るわけじゃないんですね。そうするとバブル期の膨らんだ状態に戻るわけじゃないんで、3割はどうしようもないその時に下請け企業みんなして3割ずつ仕事を減らして平和にしようと資本主義はいかないんですね、どうなるかというと3割の企業が撤退ないし倒産をして残りの7割の企業が100パーセント売上を回復するというおそらくそういう淘汰が起きて行くわけです。そうすると底打ち底打ちと言ってるんだけど、それはある企業が市場からリタイアをして他の企業はかなり回復するという全体像として見えるわけですから秋以降まだまだ大変な時期が続くなって感じはしますね。だからあまり回復回復という今そういう雰囲気作りやってますからそれで変に








竹村 しかしアメリカのほうは考えてみたらインチキな形でなんか底打ちみたいなことをいうてるというのが心配だね。


山口 そうですね、さきほど竹村さん言われたように公的資金を注入すると公的資金でもって貸出を少しでも増やして経済元気にしてくれという意図があるんだけど、実際何やってるかというと公的資金をみんなで獲りっこしてそれこそ何億というボーナスを出しちゃうし、またまた金融商品にお金を入れて少し投機っぽいことをして利益を確保するそういうところに走ってましてね、なかなか本当のところアメリカ経済はどうしてるのかということについてみんなが知恵を出してなんとかしてこうという風に僕は外から見てるとなってないんじゃないかと思うんですね、でも日本でもそうだったし中南米でもそうだったし大きなバブルが崩壊したら10年間ぐらい低迷するというのがね歴史が語ってる相場なわけですよ、だからそういう意味ではごまかしごまかしじゃなくて覚悟きめて10年間で経済を作り直すと、たとえばアメリカという国はアメリカの企業収益を全部集めてその40パーセントが金融業界稼いでるんですよ、つまりまったく金融立国なんでつぶれた時にものすごく大きな影響が出ますよね、



竹村 5パーセントぐらいの人が40パーセントのGNPを稼いでるということはね、失業者は実際いっぱいいるはずですよね、あんまり安心もできないのかな、せやけど日本やらアメリカの政府の偉い人は特に日本でももう底打ちしたように思うとかなんとか言うとるんでね、